第14回 R1.7.18 コモンリスクファクターアプローチについて

POPS研究会代表の呉(おう)です。

 

前回に続いて、ザ・クインテッセンス コラム (第2回)についても、もう少し掘り下げてお話したいと思います。

 

第2回のコラムは「どのように健康増進型歯科医院を構築するのか(患者にとっての場合)」というタイトルでした。
第2回のコラムでは、長寿化に伴って疾病構造が変化して、死因の主要因となるがんや心疾患への対応、また要介護の主要因となる脳卒中や認知症への対応が必要になること。
そして、それらに歯科がいかに貢献できるか、とりわけそれらの予防対策として、オーラルフレイルの概念の重要性を示しました。

 

また、実際の患者への保健指導(ヘルスコーチング)として、行動変容を成功に導くために、「一緒にいる」という信頼関係や、歯科で保健指導をスムーズに展開するためにコモンリスクファクターアプローチの有効性について述べました。

 

今回のメルマガではコモンリスクファクターアプローチについて詳しく述べていきます。
以前のメルマガでもコモンリスクファクターを扱いましたが、歯科医院で保健指導を行う上で、非常に重要な概念なので、再度述べていきたいと思います。
バックナンバーも目を通していただけると幸いです。

https://www.pops-dc.com/mailmaga/mal0008.html

 

さて従来は糖尿病、がん、循環器疾患などの慢性疾患はそれぞれ全く別の病気と考えられてきました。
しかし、今日ではこれらの疾患は共通の原因、すなわちコモンリスクファクターが存在することが明らかになってきました。

 

もともとコモンリスクファクターアプローチは2000年にWattらが歯科から提唱された概念です。
したがって、このオリジナルの概念図の疾病(diseases)の中に慢性疾患として、う蝕(dental caries)や歯周病(periodontal diseases)が入っています。

 

 

しかし、もう少し踏み込むと、う蝕や歯周病などの口腔疾病は、疾病(diseases)としてだけなく、リスクファクターとしても捉えることができます。
たとえば、う蝕は歯の喪失リスクであり、歯の喪失は肥満のほか、糖尿病、認知症、がん、脳血管疾患など様々な全身疾病リスクになります。

 

したがって、様々な口腔疾病は死や要介護につながるリスクファクターにもなるわけです。
これを利用すれば、歯科での保健指導の選択の幅が広くなるだけなく、口腔疾病治療の動機付けにも応用できます。

 

 

例えば、脳卒中の既往のある患者は、次に再発すると大きな後遺症を負うリスクがあることを主治医から言い聞かせられていますから、脳卒中の予防対策に関してはモチベーションが高いです。このようなケースに対して、う蝕を原発とする歯の喪失が、脳卒中のリスクであることを伝える(※)と、口腔内の治療や予防に対する協力が得やすく、また、脳卒中に対するその他のコモンリスク(喫煙、運動、栄養など)に対しても行動変容を促すことができます。また、義歯やインプラントなど歯の喪失に対する治療に対しても、患者の協力が得やすくなります。(※最近、ミュータンス菌そのものが脳卒中の原因菌になるという報告もあります)

 

 

このようにコモンリスクファクターを応用すると、歯科医院での保健指導(ヘルスコーチング)がより強化されます。
口腔疾病と全身疾患、口腔疾病と生活習慣、それぞれを関連付ける論文が多数蓄積されているので、日々それらを注視していくと、より効果的な保健指導に結びつけることができるのです。

 

来月、医歯薬出版から「健康長寿のための口腔保健をむすぶエビデンスブック」(深井穫博著)というエビデンス集が発刊されます。
コモンリスクファクターアプローチに役立つお勧めの一冊です。

 

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=445620

 

是非、お買い求めください。

 

因みに、「一緒にいる」という信頼関係から始める行動変容へのアプローチの詳細はPOPS研究会のホームページ内「保健指導の仕組み」で詳しく述べていますので、是非参考にしてください。
https://www.pops-dc.com/sikumi/index.html

 

第37回 日本顎咬合学会学術大会 テーブルクリニックで発表(R1.6.23)!

ここ数年、POPS研究会の活動を様々な形で行ってきました。執筆活動、様々な勉強会での発表、医院への出張セミナー、市民向け講演会などです。
中でも今回の日本顎咬合学会での発表は今までのPOPSの活動の中のハイライトの一つでした。「人生100年時代の健康増進型歯科医院のススメ」というタイトルで、長寿化に伴う、患者とスタッフ、両者の健康やライフプランについて述べました。感じたことは思ったよりも多くの聴衆の方に集まってくださったことです。
同じ時間に他会場で、多くのご高名な先生方が講演されている中、僕のテーブルクリニックに多数、足を運んでくだり本当に感謝でした。
あと思ったのは、年齢層や職種が様々であったことです。アンケートをとったわけではないので、定かではありませんが、歯科医師や歯科衛生士が混在して、幅広い年齢層の方に聴いていただいたようです。

 

POPSもまだまだ未熟ですが、これからも「みんなの元気を支える歯科」を考える会、POPS研究会をさらに発展的に導けるように邁進していこうと決意を新たにいたしました。

 

 

 

今回の健康ブログは脳卒中についてです。

脳卒中は認知症と併せて、要介護の主要因です。認知症の3割は脳血管疾患由来なので、実質的に脳卒中が要介護の一番の原因です。実際、訪問現場で四肢が不自由であったり、コミュニケーションがうまく取れない要介護者を目の当たりにします。今回のブログでは、脳卒中発症後の対策も触れましたが、脳卒中の予兆や原因、そして対策について多く スペースを割きました。また、医院でご活用ください。

 

添付PDF「脳卒中」

 

 

「脳卒中」

 

では、今後とも「みんなの元気を支える歯科」を考える会、POPS研究会を宜しくお願いします。

 

 

呉 沢哲

 

 

 

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