POPS研究会メルマガ(令和8年6月29日)
皆さん、こんにちは。
3か月ぶりのメルマガです。
本日は以下、2つの論文紹介と特別例会についてです。
- 口腔機能と糖尿病
- 口腔関連QOLとアブセンティーズム・プレゼンティーズム
- 第9回POPS特別例会について
1.口腔機能と糖尿病
これまで、糖尿病になると口渇など口腔機能が低下しやすいという関係はよく知られていましたが、この研究は逆に「口腔機能低下症が将来の糖尿病発症に関係するのではないか」という視点から検討されています。
75歳未満の健康保険データ約1万人を対象に解析した結果、口腔機能低下症と診断された人では、そうでない人に比べて2型糖尿病の発症リスクが高い傾向を示しました。特にフレイルの影響を考慮した解析でも、約1.6倍のリスクが示されており、統計学的な有意差には届かなかったものの、口腔機能低下症が独立したリスク指標となる可能性が示唆されています。
この6月の保険点数改正で、口腔機能低下症や口腔機能発達不全症関連の点数改正があり、口腔機能管理が一層求められるようになりました。口腔機能の重要性を糖尿病などの生活習慣病予防の観点での話もできると、口腔機能管理強化にもつながるので、是非ご活用ください。
「山神 彰ら. フレイル進行を介した口腔機能低下症と2型糖尿病発症の因果推定 . 口腔衛生会誌. 2026. Vol 76. p122」
2.口腔関連QOLとアブセンティーズム・プレゼンティーズム
〜口の健康は「働く力」にも影響するアブセンティーズム・プレゼンティーズムとの関連〜
アブセンティーズムとは、病気などが原因で仕事を休むこと、プレゼンティーズムとは出勤していても体調不良により本来のパフォーマンスを発揮できない状態を指します。近年、企業の健康経営では、この「見えない生産性の低下」が大きな課題として注目されています。
本研究では、約1万8千人の労働者を1年間追跡し、口腔状態や歯科保健行動が仕事への影響と関係するかを調べています。その結果、口腔関連QOL(OHIP-14)が低い人は、アブセンティーズム、プレゼンティーズムのいずれも起こしやすいことが明らかになりました。また、経済的な理由で歯科受診を控えた経験がある人はアブセンティーズムのリスクが約1.7倍となり、さらに口腔内の痛みはプレゼンティーズムのリスクを高めることも示されました。
興味深いのは、単に「むし歯がある」「歯周病がある」という疾患だけではなく、「口のことで生活の質が低下していること」や「痛みを抱えたまま働いていること」が、仕事の生産性に直結していた点です。つまり、口腔の健康は個人の問題にとどまらず、企業活動や社会全体の生産性にも関わるテーマと言えます。
私たち歯科医院も、むし歯や歯周病を治療するだけではなく、痛みや咀嚼機能、口腔関連QOLを改善することで、「働く力」を支える役割が期待されています。歯科医療が健康寿命だけでなく、労働生産性の向上にも貢献できる可能性があります。したがって、就業世代には仕事のパフォーマンスのためにも、是非、定期検診の重要性をお伝えください。
「花岡崚平ら. 口腔状態・歯科保健行動とアブセンティーズム・プレゼンティーズムとの関連:コホート研究 .口腔衛生会2026. Vol76. p133)」
3.第9回POPS特別例会について
前回のメルマガでも配信させて頂いた通り、次回のPOPS特別例会では、国立モンゴル医学・科学大学客員教授の岡崎好秀先生にご登壇頂けることになりました。来年2027年1月24日(日曜日)10時からタカラベルモント(大阪)で開催予定です。現在、岡崎先生と内容については調整中です。
以下、岡崎先生からのコメントです。
「話には2つの“ものさし”があります。1.“大切”と“大切でない話”、2.“誰もが知っている話”と“誰も知らない話”。これを組み合わせると、次の4つのパターンになります。
T:大切だし・誰もが知っている話
U:大切だが・誰も知らない話
V:大切でないが・誰もが知っている話
W:大切ではないし・誰もが知らない話
では、貴方はどの話が聞きたいでしょうか?
そもそもV・Wの“大切でない話”は聞く必要がありません。
では、残りの2つではどうでしょう?
Tの“大切だし・誰もが知っている話”は基本的な内容です。
今回はUの“大切だが・誰も知らない話”に焦点を絞り、次の3部構成で話題を提供します。
第1部 「動物の口はふしぎがいっぱい」
第2部 〜心が動けば体が動く〜 世界最強の歯科保健指導論
第3部 〜なぜお口ポカンが増えるのか?〜」
来年のPOPS特別例会でどんな岡崎ワールドが展開されるか今から楽しみです。
チラシは製作中ですので、もうしばらくお待ちください。
では、今後とも「みんなの元気を支える歯科」を考える会、POPS研究会を宜しくお願いします。
呉 沢哲
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