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第22回 R2.12.7 「歯が守る栄養」

さん、こんにちは。

 

POPS研究会代表の呉(おう)です。

 

先月に続いて、今回も口腔と栄養のお話です。

 

まずは、冒頭の復習です。

 

「歯を守る栄養」と「歯が守る栄養」

 

歯科医院で保健指導を行う上で、いつも問題になるのは、口腔と一見関係のない、運動や食事の話の切り出しが難しいことです。

 

今回は、歯科医院でどのように患者さんにスムーズに健康啓発を行い、それがさらなる信頼関係を築き、定期検診の受診率向上につなげ、また、栄養指導を中心とした保健指導を自費で行うかについてお伝えします。
結果として、歯科医院での保健指導を経営に結び付けていきます。

 

鶴見大学の花田信弘教授が提唱されている「歯が守る栄養」と「歯が守る栄養」をご紹介させていただきながら、上記の課題をスムーズに解決できる道筋をお示ししたいと思います。

 

前回の「歯を守る栄養」に引き続き、今回は「歯が守る栄養」について考えます。

 

まず、歯の本数が少ないと栄養面でどのような影響が出るのか様々な論文やデータから見ていきます。
@「20歯未満」・「咀嚼不良」の人は各種栄養素の摂取量が少ない
(H16年国民健康・栄養調査、40歳以上)」
図のように、「20歯未満」・「咀嚼不良」の人は ミネラル・ビタミン類、食物繊維の摂取量が少ないことが見て取れます。
国民健康・栄養調査では、その後、2005年調査、2010年調査において同様の分析が行われ、類似した結果が得られています。

 

 

A咬合の有無に関する栄養素別、食品群別の摂取量の変化量(%)の比較
地域在住高齢者286名の75歳と80歳時点のデータを用いてその評価を行いました。75歳時点での歯科健診結果に基づき、十分な咬合支持を有しているか(対合する機能歯のペアを6つ以上有しているか)を判定しました。75歳と80歳、それぞれの時点での栄養素・食品群摂取量から食事摂取量の変化量を以下のように算出しました。
(80歳時点の値―75歳時点の値)/75歳時点の値×100(%)
算出された変化量について、十分な咬合支持の有無で比較を行った結果、75歳時点で咬合支持が維持されている者と比較して、咬合支持を喪失している者は栄養素として、タンパク質、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ビタミンA、ビタミンE、および食物繊維の減少量が有意に大きく、食品群として、野菜類および肉類の減少量が有意に大きいことが明らかになりました。
つまり、噛みあっている歯が少ないと、高齢になるにつれ、栄養バランスを損なう可能性を示唆しています。

 

 

B歯のプロでさえ、噛めないと栄養が偏る!
Wakaiらは20366人の歯科医師のデータから、現在数25本以上の者と比較して、無歯顎者の米、菓子類の摂取量が多いこと、栄養素として炭水化物摂取量が多いことを報告し、無歯顎者の栄養価が低く高エネルギーの食品の摂取に傾くことを明らかにしています。
歯科医師は歯のプロであって、栄養のプロではありません。

 

 

 

C固定式インプラントは義歯やIOD(インプラントオーバーデンチャー)と比べて、噛む力が回復します。
義歯と比べると、固定式インプラントでは最大咬合力、最大粉砕力が約3倍に、IODではそれぞれ約2倍になります。

 

 

D補綴治療は栄養状態を改善するか?
全部床義歯の再製だけでは食事の改善が見られない。
補綴処置と同時に栄養指導による食事への介入が必要である。

 

 

まとめると、歯の本数の減少により栄養バランスが悪化(低栄養、高カロリー)する傾向があります。
(@)これは高齢になると顕著で(A)、歯科のプロが栄養をセルフコントロールできるものでないのです(B)。
また、インプラントを中心とする欠損補綴は咀嚼能力を高めるのは自明ですが(C)、咀嚼能力改善は栄養バランス改善と直結するのではなく、栄養指導が不可欠で、マンツーマンのオーダーメイドが有効です(D)。

 

上記の内容を踏まえて、歯科医院で栄養指導を展開していきます。
対象者は有床義歯から固定式インプラントかIODになるケース、両側もしくは片側で6番7番の咬合支持がなく、インプラントもしくは有床義歯になるケースなど、これから欠損補綴で最大咬合力や最大粉砕力改善もしくは患者さんの咀嚼改善実感が見込まれるケースです。

 

これは歯科医師やTCによるカウンセリングが必要ですが、補綴前に補綴の目的を明確に伝えることが重要です。
すなわち、補綴の目的は欠損部位の修復ではなく、咀嚼能力を挙げて、栄養バランスを改善することが目的です。
患者さんのタイプによって、上記などのグラフを用いてロジカルにお伝えしたり、感覚的にお伝えしたりして、使い分けます。
患者さんの同意が得られれば、管理栄養士や衛生士に申し送ります。

 

上記の論文にもあるように、補綴するだけでは、栄養バランスは改善されません。なぜなら、それまでの食習慣が身についてしまっているからです。
嗜好の問題、食形態の問題、習慣性の咀嚼側の問題など、さまざまです。
したがって、管理栄養士などの1対1のカウンセリングによって、栄養改善を実現しないことには、いくらうまく補綴治療を行っても、宝の持ち腐れになります。

 

なので、補綴前に栄養指導の重要性をお伝えして、補綴とセットで栄養指導を行うことをお話します。
そして、当院では、管理栄養士による補綴前提の栄養指導は10000円(税別)です。3か月間のフォローアップも含めます。
これは国がすすめる特定保健指導の内容と費用を参考にしています。
(※)保険診療メインだとこのチャージは高く感じるかもしれませんが、インプラント治療などの自費診療であれば、勧めやすいです。

 

(※特定保健指導の動機づけ支援の費用は8470円、 内容は初回のカウンセリングと6カ月後の評価、積極的支援の費用は25120円、内容は3か月間の支援と6カ月後の評価)

 

個々の診療所の特徴に合わせて、有効に「歯が守る栄養」を活用して、栄養指導を経営ベースに乗せていきましょう。
今回のさらなる詳細な内容は、来年1月のPOPS特別例会(オンライン)でお話する予定です。無料なので、ご興味のある方は参加してください。

 

 

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第3回POPS特別例会のご案内-令和3年1月24日(日)

第3回POPS特別例会のご案内

 

第3回POPS特別例会のご案内

 

来年の1月24日(日)に第3回POPS特別例会をオンライン(ZOOM)で開催することにしました。参加費は無料です。

 

今回は管理栄養士の歯科医院での役割を考えます。
基調講演では「管理栄養士と歯科医院経営」と題して、現在の特定保健指導とその具体的な歯科の参入について考えます。
また、補綴治療と栄養指導をセットにして、自費の保健指導へスムーズに展開する方法について実例を交えてお話しします。

 

そして、今回のメインテーマは「ライフステージに合わせた歯科医院での管理栄養士の役割」です。
乳幼児期、青年期、壮年期、高齢期のそれぞれのライフステージに合わせた歯科医院での管理栄養士の役割をPOPSメンバーが各医院の実情に合わせて、発表します。自院の患者層やスタッフ構成などに合わせて、参考にしていただけばと思います。

 

 

タイムスケジュールは以下の通りです。

 

管理栄養士と歯科医院経営 呉 (13:00-13:30)
現在の特定保健指導との歯科の参入の可能性
補綴治療と栄養指導

 

ライフステージに合わせた歯科医院での管理栄養士の役割(13:30-15:30)

 

乳幼児期に対する歯科医院での管理栄養士の役割 藤田(13:30-14:00)

 

青年期に対する歯科医院での管理栄養士の役割 増田(14:00-14:30)

 

壮年期に対する歯科医院での管理栄養士の役割 呉(14:30-15:00)

 

高齢期に対する歯科医院での管理栄養士の役割 石川(15:00-15:30)

 

結語 呉 15時30-15時40分

 

※各回、20分発表 10分質疑応答と入れ替わり

 

オンラインなので、コンパクトにまとめますが、非常に質の高い内容になっています。管理栄養士のいる歯科医院様、今後管理栄養士採用を検討している歯科医院様におかれましては、非常に役に立つ内容になっていますので、奮ってご参加ください。

 

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では、今後とも「みんなの元気を支える歯科」を考える会、POPS研究会を宜しくお願いします。

 

 

呉 沢哲

 

 

 

※配信後のバックナンバーをPOPS研究会ホームページに公開しております

 

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