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第25回 POPS特別例会を楽しむために、全身と口腔のエビデンスをどう活かすか?

皆さん、こんにちは。

 

POPS研究会代表の呉です。

 

今日は来月の23日に開催される、第4回POPS特別例会について関連情報です。

 

POPS研究会設立に大きな影響を及ぼした「世界会議」について、ご紹介します。
「健康寿命延伸のための歯科医療・口腔保健 世界会議2015」が6年前の2015年に東京の国際フォーラムで開催されました。

 

今でもそうですが、当時、世界は最長寿国の一つである、日本がどのような健康政策を持っているのか、どのような課題に向き合っているのかを注視していました。
世界的にも高齢化が進む中、個々の国の事情に合わせて、超高齢化社会の日本の健康政策に追従しようとしていたわけです。
そんな中、歯の保存や口腔ケアなどの歯科医療・口腔保健が健康寿命延伸につながるということを背景に、「歯科医療・口腔保健が主要な健康政策の一つ」になりうることで、
世界の注目が集まり、上記の「世界会議」が開催されました。
主催は日本歯科医師会を始めとする4団体と、共催にWHO、後援に厚生労働省、日本医師会、FDI世界歯科連盟などが参加して、
参加者の中には、塩崎厚生労働大臣、FDI(国際歯科連盟)会長、日本医師会会長、そして世界24ヶ国の歯科医師会会長をはじめ、歯科だけでなく、
医科、健康行政などのトップが一堂に会したことでも、この大会の重要性が伺い知れます。当時からすでに、歯の健康は健康政策として大きな存在感を示していました。

 

そこで、「全身の健康に効果的な口腔のエビデンスが本当にあるのか」、ということになります。
実はこの会議で参加者全員に配布されたのが、300ページ近くにもなる口腔の健康と全身の健康を関連付ける論文集でした。
1011もの国内外の論文が引用されていました。それぞれの論文は約20倍もの論文の中から、より精度の高いものだけを抽出した1011の論文でした。
疫学研究において、年数とN数が精度と関係しますが、多くの論文は何十年、何千人が対象の研究です。
そして、この論文集で主要な役割を担われたのが、来月のPOPS特別例会にお招きする深井穫博先生です。

 

3日間に及んだこの会議では、いろんな題材で、「健康寿命延伸のための歯科医療・口腔保健」が語られ、最後に「東京宣言」が出されました。

 

その宣言の中には、現在の歯科の保険点数や歯科医師会の活動に反映されているものが多くあります。
例えば、
「生涯にわたる歯・口腔の健康の維持は、・・・、健康寿命延伸に寄与する。」→かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所などの施設基準
「口腔機能の維持、回復を図るための政策を推進する。」
→口腔機能管理料や舌圧などの口腔機能検査に関する保険収載
「歯科のみならず、多職種連携で対応できる環境づくりを推進する。」
→周術期口腔機能管理関連の保険点数や歯科医師会の医科歯科連携推進事業
などです。これらはすべて、この2015年の世界会議の後に出た動きで、今もその流れは弱まるどころか、さらに強化されています。
来年の4月の保険点数改定時もその流れは変わらないと予想されます。

 

2015年の世界会議から時が過ぎましたが、口腔と全身のエビデンスは年々蓄積されています。深井先生は世界会議以降も、月に一回疫学研究者らとの勉強会(疫学セミナー)と、
年に一回の疫学研究のシンポジウム(コロキウム)を欠かさず開催されています。世界会議2015はただ単なるイベントではなく、今なお進化し続けている、健康政策の原動力になっています。

 

国民皆保険制度、特定健診・特定保健指導など国が管轄する健康政策は公衆衛生(Public Health)上、重要な役割があります。医療従事者は経営上、保険のルールに則って
、インセンティブの高い医療行為を勧めやすくなるので、厚生労働省や中医協などの健康政策決定者が策定する点数のデザインは、公衆衛生と直結します。
今後、口腔と全身のエビデンスがさらに蓄積されていくと、歯科からの健康政策が様々な形で表現されるはずです。

 

このように健康政策決定者の狙いを知ることで、戦略的に自院のインフラを事前に整備すれば、2年に一回の保険点数の改正などに振り回される必要もなくなります。
例えば、訪問診療に関連する直接的にも間接的にもインセンティブは年々高くなっていますが、いきなり訪問診療を導入するのは困難です。
少しずつ昼休みの空いた時間を使って、訪問機材を徐々にそろえて、また、歯科衛生士を中心にした人材を確保しながら、訪問診療をできる体制を整えていく必要があります。
そして、今後は特定保健指導が歯科医院で実質的に行われる環境が整備されることが予想されます。
実際に歯科医院での咀嚼指導や栄養指導が効果的であるという報告も出ています。
特定保健指導には管理栄養士が自院に必要なので、今から管理栄養士を雇用して、歯科医院で管理栄養士が歯科分野でも栄養分野でも活躍できる基盤を今から作っていく必要が出てきます。

 

今回のPOPSでは、深井先生より、様々な口腔と全身のエビデンスが紹介されますが、その中にはすでに、健康政策や保険点数にすでに反映されているもの、これから反映されると予想されるものがあります。
したがって、そのような着眼点も併せ持つと、自院での口腔と全身のエビデンスの活用だけでなく、近い将来の健康政策の潮流をとらえて、将来の保険収載や特定保健指導のために必要なものがうかがい知れると思います。
来月のPOPS特別例会が皆さまにとって、有意義な一日になり、少しでも皆様のお役に立てれたら幸いです。
第4回POPS特別例会への参加をお待ちしています。

 

 

では、今後とも「みんなの元気を支える歯科」を考える会、POPS研究会を宜しくお願いします。

 

POPS研究会
呉 沢哲

 

 

 

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