噛み合わせと肩こり

噛み合わせと肩こり

下顎前突群(受け口),上顎前突群(出っ歯)ともに正常の噛み合わせよりも肩こりの症状出現率が高かった.(※)

また、開咬といって、奥歯が噛んでいるのに、前歯が全然あたっていない状態で一番、肩こりが多いという報告がありました。

 

 

 

 

 

 

では、なぜ噛み合わせが悪いと、肩こりが生じるのでしょうか?

身体は筋膜といわれる帯で包み込まれているのをご存知ですか。顎の筋肉周辺から螺旋状に上から下にぐるぐると身体を覆っています。その始まりが顎の筋肉(咬筋)周辺にある筋膜です。それから、グルグルと下に降りて、肩まわりをまいて降りていき最後は足のかかとや甲を取り巻きます。

顎の筋膜は肩の筋膜と近いので、噛み合わせの異常が顎の位置異常(前後や側方の異常)につながり、肩の筋膜のたるみや張りにつながると考えられます。噛みあわせも肩こりと大いに関係があります。

 

また、悪い姿勢を続けると肩周囲で筋膜にしわができたり固まったりし、肩こりの症状を引き起こします。したがって、繰り返しになりますが、筋膜にも無理のかからない姿勢が大事です。骨盤を立てます。

 

 

顎と肩をつなぐ筋肉

胸鎖乳突筋、僧帽筋をはじめたくさんの筋肉が顎や頭蓋骨と鎖骨などに繋がっています。噛み合わせに異常があると、顎と肩をつなぐ筋肉が引っ張られたり、凝り固まったりしやすくなります。

つまり、姿勢をよくして、筋膜がたるんだり、はったりしないように心がけることが必要ということになります。また、噛み合わせをよくするには特に、幼少期に「よく噛む」癖をつけることが重要です。大人になってからは被せたり、矯正をしないとうまくいかないこともあるので、当院のスタッフに気軽に声をかけてください。

 

肩こりは頭の位置にも影響を受けます。頭の重さは約5kg程度で、ボーリングの玉くらいの重さもあります。

実は頭の向きで、頭の重さが変わります。そう、スマホ社会の現代人は肩こりのリスクが極めて高いのです。また、柔らかいもしか食べないで噛み合わせに異常をきたしやすい生活習慣はさらにリスクを増大させます。

スマホを見るときの姿勢や噛み応えのある食習慣で肩こりを卒業しませんか。

 

 

 

 

(※)原著論文 咬合と身体症状

Author松尾 直子(愛知学院大学 歯 第1口腔外科), 山下 敏康, 木下 靖朗, 他

Source 愛知学院大学歯学会誌 (0044-6912)30巻2号 Page357-365(1992.06)