第10回 咀嚼の効能(その2)

咀嚼の効能(その2)


ツインデンタルクリニックの呉(おう)です。

今日は、咀嚼の脳に対する効能をお話しします。


咀嚼運動はいろいろなアプローチで脳を活動的にします。まず、噛むと脳血流量が上がるのがわかっています。脳に栄養が行き渡り、頭が冴えます。また、歯の周囲にある三叉神経から脳にいたるところに信号を送り、脳を活動的にします。

 

  ☆それでは実際にどのような効果があるのでしょうか。

 

① やる気

古い脳の線条体という場所に意欲を司る領域があります。咀嚼運動はこの線条体の活動をあげて、やる気を起こす「やる気スイッチ」です。ある動画で、車いすのおじいさんが噛み合わせの治療により、元気になって、庭いじりまでできる様子が克明に現れています。

(興味のある方は日本歯科医師会の8020日歯TVのホームページからその中の「<1>口腔と全身の関係」をご覧下さい。)


② 記憶力

咀嚼は記憶力維持をサポートします。

 脳の中の海馬という記憶を司る領域がありますが、正しい咀嚼によってこの海馬の神経細胞の数が増えるのがわかっています。また、ネズミの実験ですが、奥歯を削ると、海馬の神経細胞が減りましたが、奥歯を人工物で再建するとまた海馬の神経細胞が増えました。(岐阜大学医学部、渡邊ら)


③ 頭が良くなる

咀嚼によって、IQ値が上がるという報告があります。

小学4年生の実験で、一口30回噛む習慣を6年生までの3年間指導したクラスでは、指導しなかったクラスに比べてIQが有意に高かくなりました。(実験クラスIQ104.2→120.6(16.4上昇) 対照群97.9→104.3(6.4上昇))(九州大学医学部 神田ら)


脳を鍛えるのは口からが一番の近道です。

 実際の咀嚼方法は咀嚼の効能(その1)を参考にして下さい。

第9回 咀嚼の効能(その1)

咀嚼の効能(その1)


  「噛む」ということは色々な形で、身体を健康にします。

 

今日は咀嚼とストレスについてお話しします。

噛むこととストレスと言ってもピンとこない人が多いと思いますが、大いに関係があることがわかっています


 まずストレスがなぜ起こるかですが、一言で言うと、「自律神経の不調和」です。ストレスを起こす因子をストレッサーと言いますが、夏の暑い日差しであったり、上司からの厳しい言葉であったり、また道ばたでイヌに「ワン」と急に吠えられたりと、身の周りには四六時中、物理的、精神的ストレッサーがあふれています。

 しかしながら、人によってそのストレッサーをうまく受け止め、流せる人と、そう出ない人がいます。これは自律神経の調整がうまくいく人とそう出ない人の差によるものです。


自律神経の調整にかかわる脳内物質がセロトニンという物質でセロトニンが活性化されると、自律神経をうまく調整でき、ストレスをうまくコントロールできます。 


 前置きが長くなりましたが、セロトニン活性にはいろいろな生活習慣がかかわっていますが、その中でもリズミカルな運動がセロトニン活性と深くかかわっていることがわかっています。「噛む」という行為も立派な「リズム運動」です。


 例えば、ガムを噛むスポーツ選手を見かけますが、あれはリラックスしてパフォーマンスを上げるねらいがあります。

   

  ☆以下は「噛む」という習慣をつけるための実例です。

① 朝の通勤時にガムを噛む

② お食事中、一口30回噛むことを実践する

③ かみごたえのあるものを食べるように心がける


自分にあった噛む習慣をみにつけて、ストレスコントロールしてみてはどうでしょうか。

☆健康テスト☆

健康テスト

以下の臓器で第二の脳と言われる臓器はどれ?

 1. 口

 2. 腸

 3. 心臓


  答えは2の腸


脳の中の伝達物質であるセロトニンは自律神経を整え、ストレスコントロールの役割を持っていて、「幸せの物質」と言われますが、このセロトニンは腸内細菌が少ないと、増えないことが明らかになっています。食物繊維は腸内細菌を増やす、いわば餌になるので、食物繊維をたくさん摂ると、腸内細菌が増え、セロトニン活性になり、健全な精神状態を作り出すことができます。


面白いデータがあります。メキシコは約半世紀もの長きにわたって、自殺率が世界最低という記録を持ち続けています。メキシコは明るくて、親しみやすい国民性を持ってる一方、貧困や治安の悪化に悩む国でもあります。そこで、メキシコの食物繊維の摂取量を調べてみると、日本人の1日一人当たり31.9gに対して、メキシコ人はなんと日本人の約3倍の93.6g摂っていました。


どうですか。皆さんも食物繊維をたくさんとって、より幸せを実感してみませんか。

☆学会に参加しました☆

みなさん、こんにちは

ツインデンタルクリニックの呉(おう)です。


先週末、ツインデンタルクリニック一同は二つの大きな学会に二手に分かれて、研鑽に行って参りました。例年、二つの学会が日程的にかぶることはありませんが、今年はたまたま会場の都合で日が重なってしまいました。


一つは日本顎咬合学会という歯科臨床医の学会で、もう一つは日本抗加齢医学会という健康長寿を目指す医療の中で多様な専門医などがかかわる学会です。

 

ツインデンタルクリニックでは口と心身の健康増進をサポートしています。

 

 したがって、今後とも口の中だけではなく、全身面でも生活習慣を中心に少しでも実のある情報を提供できるように、研鑽を積んで行こうと思います。


 さて、このふたつの学会にはそれぞれ大きなスローガンがあります。日本顎咬合学会では「咬合と咀嚼で創る健康長寿」、日本抗加齢医学会では「Happy people live longer」です。平たく言うと、前者は「美味しく食べて健康長寿を」。後者は「幸せな日々で健康長寿を」というところでしょうか。

一見、全く別の学会ですが、突き詰めると同じような方向性にあることを今回、再認識しました。


今後とも皆さんの幸せや康長寿に、色々な形で、少しでもお役に立てたら幸せです。